清水國明の「自然樂校&森と湖の楽園」で自然暮らし | 山梨県南都留郡富士河口湖町

清水國明 執筆原稿

2008年3月15日

月刊『リゾート物件情報』 「清水國明の河口湖自然楽校便り」

河口湖で今、ナンバーワンリゾートというプロジェクトが進んでいて、有名ブランドのホテルが建ったり、高級分譲地が開発されたりしはじめている。河口湖大橋のたもとに北原照久さんのおもちゃ博物館がオープンすることになり、その隣地にイタリアレストランを誘致できないかと関係者から相談を受け、最近気に入っているイタリアレストランのオーナーを紹介した。都内で三軒、予約2カ月待ちの人気店である。

photoナポリで行われたピザの世界大会でチャンピオンになった男がいる店。イタリアから取り寄せた本物のピザ窯で焼き上げるピザは絶品。何度食べても世界一のおいしさと風格を感じさせる優れものだ。河口湖にはゲストに勧められる超一流の飲食店がないとみんなが言う。なんとか河口湖に出店してほしいと何度か通ううち、「あなたがその店をやるなら」という展開になった。ありがたい話だけど、頼まれて交渉していただけなのに、ミイラ取りがミイラになった、ってやつだろうか。で、少し真剣に考えてみた。現在ワークショップリゾート、自然樂校でもレストランをやっているけれど、立地条件が悪く通年の集客に苦労している。今回のような絶好の場所でレストランをやることができたら、ずいぶんと経営は楽になるだろう。本気で、死ぬ気でやるのなら応援する、とそのオーナーが言ってくれた。やる気は十分。後は飲食店としてのブランド力と味、オペレーションのノウハウである。ムズムズとやってみようか虫が騒ぎ始めた。

正直今の場所だと、夏の繁忙期だけの営業なので、このままだとレストラン部門はやがて閉鎖の道しか残されていない。ならば座して死を待つより撃って出るのもいいかもしれない、なんて気になってきた。でもイタリア料理は、食べるのは大好きだけれど、レストランを経営するというのは全く別の話、別のセンスと才能がいる。運営は誰かに任せて、僕らのできる分野だけで全力を尽くすしかないだろう。たとえば食材の確保については、自然樂校も有機無農薬の畑をやっているし、近隣の有機農家との連携や富士五湖の水産物の仕入れに奔走することはできる。レストランでおいしく食べてもらった野菜や魚、ドレッシングなんかを店頭で販売させてもらえたらうれしい。もともと「森と湖の楽園」という名前でやっているのだけど、森の中すぎて湖の要素が薄かった。

この湖のほとりのレストランに何らかの形で関わることができたら、看板に偽りあり、が改善される。湖に来た人たちがレストランで僕らのことを知り、ちょっと森にも行ってみるか、と自然樂校に来てくれるようになれば理想的である。そのレストラン予定地は、河口湖に訪れた人たちが必ず立ち寄る中心地で、富士山と河口湖を一度に見ることができる小高い岬の一角。すでに小さな建物はあるが、収容人数を増やすためにウッドデッキとサンルームを増築する工事が必要になるだろう。ウッドデッキに使う2x6材は自然樂校に山ほどある。というかウッドデッキを作りすぎてキャンプスペースが足りなくなっているので、少し減らそうと思っているのだ。その材を使ってレストランのデッキにしてガラスの天井、ガラスの壁にしよう。そうすれば寒い冬にも暖かく過ごしてもらえる。河口湖に来た人が誰もが一度は立ち寄ってみたくなるような、体によくて自然食で景色と味と雰囲気がいいレストラン。
あぁ。まだ海の物とも山のものとも、全く仮の話の段階なのにずいぶんと盛り上がって、勝手にあれこれ想像してしまった。
誰もお前にやれとは言ってないだろ、って言われたらそれでおしまいの話。今までもこんな風に煮詰まってない話を早い段階でペラペラとしゃべって、そのせいでダメになってしまった案件がいくつかある。土地柄もあって、何事も深く水面下に潜って根回ししてからでないと、何やかやと邪魔が入るようだ。でもこれが僕のやり方。発想の段階でみんなに話して発表してしまい、それで反対されるのであればそれだけの事業。いいねそれやろうよ、という人が反対して邪魔する人を上回れば絶対にうまくゆくと思っている。
こそこそと謀略を練って敵の裏をかいてうまくいっても、そんなに嬉しくないし、いくらか得はしても事業として大したことはできないだろう。今回もそんなところにそんなものを造られたら困る、とあれこれ理由を見つけて来て文句をいう人はきっと出てくる。嘘だと思うかもしれないが、これは本当。今のうちに断言しておいていい。それが地域全体の発展になるから、などという理屈では説得できない、エゴの嵐が吹きまくるのだ。結局、河口湖を訪れたみんなが喜ぶ、最高のレストランができて、観光客の満足度が上がるのなら、と大人の判断をしてくれる人が、心の狭い人を上回ればこのプランはきっと成功すると信じている。出る釘は打たれる。けれど出きって、飛び出してしまった釘は打たれない。ひとつやってみるか。