清水國明 執筆原稿
2007年7月5日
『東京新聞』
もう三日連続で、朝の4時に森に入って、池つくりに励んでいます。富士山のふもとの森は、地面に雨水がどんどん浸透するばかりで、地面の表面が乾いているようです。今住んでいる森の中にも沢や小川は一本もありません。ボーリングして地面を掘ってゆくとすごい水脈があるらしく、富士山のミネラルウォーターとして販売されているくらいなのですが、家の近くに川や水辺がないのは少し寂しい気がします。そこで思い立って大きな池を掘ることにしたのです。思いつきで行動すると、計画的に動いている周りの人に迷惑が掛かってしまいます。そこでやむおえず自分の睡眠時間を削って早朝の一人工事に取り掛かったのです。まだ暗いので工事用の照明や車のライトで照らしながら地面を掘っています。難しいのは穴を掘っただけでは水がたまってくれないので、ブルーのシートを一面に張らなければならないこと。シートを半分張り終えた二日目の夜に雨が降りました。水が溜まっているかな、と楽しみに今朝のぞいてみたら、窪みにちょっぴりだけ。ダメだこりゃ、とがっくり。つなぎ目からすっかり水漏れしているようです。接着剤を手に入れてふさぐしかないようですね。
水が溜まったらニジマスとザリガニを放して、夏休みにこの森にやってくる大勢の子どもたちにつかみ捕りや釣りをやってもらおうと思っています。子どものころ出かけた森には必ずきれいな沢があって、そこでの魚捕りが一番の楽しみで、一番興奮もしていました。どうやら狩猟の本能に近い遊びに触れたとき、もっともワクワクドキドキする体質のようです。このときめきを子どもたちに体験してもらって、森や自然をもっと好きになってもらいたいものです。無理して学ぶより、楽しんで好きになれば、おのずと自然を守る人に育ってくれると考えて取り組んでいる自然樂校です。この森に響き渡る子どもたちの歓声を楽しみに、眠い目こすって今日も穴を掘っています。