清水國明 執筆原稿
2007年8月14日
『東京新聞』
「近頃の年寄りは自分の老後のことしか考えとらん!」と怒っていたのは、「八ヶ岳倶楽部」を運営している柳生博さんでした。子どもたちを自然に誘う役割はお年寄りの役目だったのに、みんな自分の老後の心配ばかりでその役目を果たしていない、という柳生さんは、ご自分で丹精こめて作り上げた庭園にたくさんの人を招いて四季の自然を楽しんでもらっています。こんなお年寄りが増えると、確かに日本の若者や子どもたちはもっと自然に親しんで、健全に育つことができるのでしょう。ある人が自分の家系を遡って祖先を数えてみたら、2048人になったそうです。さらに遡ればもっと沢山の祖先が存在します。その人たちが祖先会議を開いて、子孫のやっていることをチェックしていて、こいつはいいことやっているからちょっと助けてやるか、いや、少し懲らしめてやろう、なんて決めているようなのです。この人たちのご機嫌を損なわないように生きる必要があります。自分たちの絆を途絶えさせないよう、次の世代を健全に育むことに関わっていると、祖先が一番喜び、みんなで応援してくれるのでしょう。未来にいい環境を残す仕事をやっていると間違いなく褒めてもらえます。
老後は自然の中で子どもたちに自然を教えて暮らしたい、という希望を持つ人たちが増えてきました。河口湖の自然樂校にも森や水辺で楽しく遊ぶ方法を学びたいという研修生がやってきます。会社を終えた人と自衛隊を退官した人が研修を終えて卒業してゆきました。自分の故郷で自然体験施設を造って子どもたちと楽しく過ごしたいと願うこの人たちを、私たち自然樂校だけでなく、それぞれの先祖会議もきっと全力で応援してくれることでしょう。
自然の中で自分の快適、幸せだけを求めてセカンドライフを始めた人たちが、いろいろな問題が発生して挫折しているというニュースがチラホラ聞こえ始めましたね。自然の中で楽しく何をするか、ではないでしょうか。