清水國明の「自然樂校&森と湖の楽園」で自然暮らし | 山梨県南都留郡富士河口湖町

清水國明 執筆原稿

2007年9月号

『月刊釣りフアン』

photo森の中にログハウスを建て、周りを畑にして本格的な自然暮らしをはじめました。ちょっとまじめに今回は、この自然暮らしを通して伝えたいこと、真剣な取り組みについて書いてみます。
世界中のどの国、民族においても、生活文化の伝承は、家族を養い生活することに忙しい親ではなく、成熟した豊かな人生経験を持つ祖父母がその役割を担っているといいます。
ところが戦後の日本においては、生活様式が大きく変わり、子どもたちと高齢者がふれあう機会が著しく少なくなってしまいました。
必然、生活文化が伝承されなくなって日本人は、誇りとすべき敬老の精神や助け合い、思いやりの心を忘れました。
戦後教育によって、自主性や積極性や個性、権利、そして平等が叫ばれてきた結果、切磋琢磨して競い合うことや規則を守ること、義務を果たすこと、協調して生きることなどが、軽んじられる社会になっています。
そこで私は自然体験を通して、暮らしの中に自然を活かしてきた先人の知恵を学び、そこにある日本人の素晴らしい生活文化を掘り起こし、伝承するための活動に取り組むことにしたのです。心の故郷を失った人たちに、「森へ還ろう」と呼びかけています。
自然の中の活動であっても、この取り組みは余暇を楽しむためのレクレーションを教えるものではありません。
楽しいアウトドアを入り口にはするけれど、最終の目的は、自然とともに生活し、暮らしてきた人たちの生活技術を学び、体験することで、失われてしまった健全な日本人の心と体を復活させることです。
photoそのために、多くの人たちに「自然暮らし」を勧め、食育や自然育を啓発して「懐かしい未来」の実現を目指し活動しています。
人の暮らしの中にもっと自然を活かして、自然豊かな場所だけでなく、都会に暮らす人も心に自然を満たして、あるがままの自然体で日々を過ごすような生き方を理想としています。
そんな自然暮らしを勧め、より多くの人の賛同を得て、自然暮らしのネットワークを全国に広げるために、自然暮らしのガイドを養成する自然暮らしマスター認定制度を設けました。
生活文化を次の世代に伝承するのは、家庭では祖父祖母、社会においては充実した人生を過ごしたあと、現役を引退して時間的に余裕がある人が適任者です。
たとえば、自然に関しては大変高い技術と体験を有する警察官や消防士、自衛隊の方たちは、その豊富な経験を活かすことで、自然暮らしマスターとして大いに活躍することが出来るでしょう。
ただし、知っていて出来ることと、伝え教えることは、それぞれ別の技術を必要とします。
自然暮らしマスターは、自然と共に暮らす術を学び、体験し、そしてそれを楽しく伝えることが出来る人でなければなりません。
さらに自然暮らしの伝承とは、大いなる感動を伴って相手の血となり肉となる情報を伝達することであり、単に正しい情報を積み重ねるだけの、教育とは違うものです。情報蓄積の教育からは生きる力、やる気は育ちません。憧れの対象に近づきたくて、ワクワクドキドキしながら吸収する、学びの環境作りが伝承には必要です。
やってみせ、やらせてみせ、誉めてやらなければ人は育たないと先人が教えるように、知識の押し付けではなく、命令でもなく、率先して、はつらつと自然暮らしを楽しんでいる姿こそが大切になってきます。
自然暮らしマスターは、自らが自然暮らしを楽しみ、その姿にみんなの憧れが集中するような人材とならなければなりません。
自然暮らしマスター認定講座では、標準化し体系化された基礎技術を、誰もが同じように教えられるようにします。
いかに高い技術を持っていても教え方は、全員が統一された手順に沿って指導します。それを自然暮らし認定講座でマスターしてもらいます。
自然暮らしマスターの資格を取得することで、伝えなければならないことを伝えるための、機会や技術、場所、仲間を得ることが出来ます。
自然暮らしマスター資格を取得した人は、自然暮らし検定協議会の審査を受けて、任意の場所で自然暮らしを伝承する「自然樂校」を開校し運営することが出来るのです。
自然暮らし検定協議会は、新設の「自然樂校」に対して教材供給のほか、必要な運営スタッフの派遣、集客業務の代行、広報宣伝のサポートを行います。

photo後世に自分の歩んだ人生を伝え、自分が祖先から学んだ生きる知恵、人類の英知を伝える義務が、私たちには残されています。この義務を果たさないうちは安らげず、どんなに長生きしていても、いつまでも不安で、不満な老後の生活を送ることになります。死を迎える準備とは、後世に伝えることなのでしょう。安らかな死を迎えるための準備をすることすらままならない現代において、自然暮らしの啓発と自然暮らしの案内人を養成する私たちの取り組みは、健全な日本人の再生と有意義な後半人生を送りたいと願う人たちのために、大いに貢献することが出来ると確信しています。